▼反対討論をしました
議案題67号 海老名市住みよいまちづくり条例の一部改正について 反対の立場で討論いたします。
住みよいまちづくり条例が制定され、5年が経過し、実情に合った改正をするという趣旨は理解をいたします。ワンルーム共同住宅の基準が、一戸当たりの専用床面積35㎡未満になったことは実情に合った点で評価するものの、面積要件を500㎡と入れることで、近隣住民への説明が必要と思われる小規模なワンルーム住宅が適用されなくなってしまうため、後退と言わざるを得ない状況になっています。
そもそも、ワンルーム住宅を、一定の条件のもとで大規模開発事業とみなすようにしたのは、ワンルーム住宅において近隣住民とのトラブルが多くあることから、一定の規制、条件をもうけ、良好な環境を保つことを目的にしていたからであるはずです。
たしかに、改正前の一戸当たりの専用床面積20㎡未満、というのは現実的な数字出なかったと、当時条例制定時審議をしていた一人として大いに反省するところです。しかし、実績がないからとこれまで面積要件がなかったのに新たに入れる必要性はありません。
なぜなら、現在海老名市内において敷地面積500㎡未満で、24戸のワンルーム住宅が建設されており、まさに近隣トラブルを抱えている実情があるからです。ワンルーム住宅の各玄関前に目隠しがなく、プライバシーの観点から隣地の住民が設置を求めるも、応じてもらえておりません。
もし、条例改正で、面積要件がなく、20戸以上専用床面積35㎡未満であれば、今建設されているワンルーム住宅は条例適用されることになります。そうすれば、事前に説明が行われ、意見書も提出することができ、トラブル抑制につながります。
500㎡未満である小規模なところにこそ、住民への説明が必要であることが示されている事案です。
そもそも、当初都市計画審議会へ諮問した時は、専用床面積の変更であり、500㎡の事業面積については論点になっていません。当初案は20戸以上、25㎡以上40㎡未満であり、そのままの方がよかったのではないかと思わずにはおられません。面積要件ではなく、戸数の要件を残したうえで、20戸が妥当かどうかの議論が必要だったのではないでしょうか。
トラブルを抱えやすい物件を条例の対象外とすべきではなく、守るべきは、市民の良好な住環境であり、そのための改定でなければ条例が生きたものになりません。
東京都小金井市では、金井市宅地開発等指導要綱に基づくワンルーム形式の共同住宅の建設に関する指導指針をもっており、事業者の責務として、以下のように書かれています。
事業者は、周辺の良好な環境及び円滑な相隣関係を維持するため、次に掲げる事項を遵守するとともに、建物完成後は入居者に周知徹底させるものとする。
1 事業者は、建設計画に際しては、近隣住民に迷惑をかけないよう設計上の配慮をするとともに、工事中における防音及び防振等の対策を講じるものとする。
そして、建設に関する事項として、
事業者は、ワンルーム形式の共同住宅には、原則として管理人室を設けること。
イ 開放廊下及び屋外階段の床面並びに各戸の玄関は、床面をクッション材等で仕上げ防音に努めることとし、玄関扉は、開閉に伴う衝撃音を和らげる構造とすること。
ウ 隣家の開口部に面して開放廊下又は窓等を設ける場合は、隣接住民のプライバシ
ーに配慮し、視線を遮る配慮をすること。
カ 防犯上、必要最小限度の屋外照明を設けること。
などが明記されています。
住民の住環境を守るという事は、市として事業者に対し責任を果たすよう求め、指導することです。今回の改定では、市として住環境を守っていくという姿勢が見えません。
住みよいまちづくり条例を生かすためにも、対象を狭めるのではなく、市民の住環境を守るものにしていただくよう求めます。そして、この12月議会で議論がなされてきた、開発事業者への保育園整備を求めることを条例で明記することも必要であり、その改正こそ今最も必要ではないでしょうか。検討していただくことを強く求めます。